共働き夫婦の老後資金計画 見直しと共有のポイント【40代・50代】
共働き夫婦が老後資金計画を始める前に知っておきたいこと
40代後半から50代前半の皆様の中には、ご夫婦共に働いていらっしゃる方も多いかと存じます。収入源が複数あることは、老後資金準備において大きな強みとなります。一方で、「自分自身の分は考えているけれど、夫婦全体としての計画はどうすれば良いか」「お互いの資産状況や考え方をどう共有すれば良いか」といった、共働きならではの疑問や不安をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
本記事では、共働き夫婦が老後資金計画を立て、そして継続的に見直していく上での重要なポイントについて解説いたします。単に個人の資産形成だけでなく、世帯全体としてどのように考え、どのように協力して進めていくかに焦点を当てます。
共働き夫婦における老後資金計画の特性
共働き夫婦の老後資金計画には、専業主婦(夫)世帯とは異なる特性があります。
1. 収入源と公的年金
- 複数の収入源: ご夫婦それぞれに安定した収入があるため、計画の柔軟性が高く、より積極的な資産形成を進めやすい可能性があります。
- 公的年金: ご夫婦それぞれが厚生年金や国民年金に加入している場合がほとんどです。これにより、老後に受け取れる公的年金額は単身者や片働き世帯よりも多くなる傾向があります。ただし、それぞれの加入履歴や収入によって受給額は異なります。将来の受給見込額を把握することは、計画の土台となります(参考:[リンク先仮記載] 公的年金の仕組みと将来の受給額を知る方法)。
2. 資産形成の多様性
ご夫婦それぞれがiDeCo(個人型確定拠出年金)やつみたてNISA(または新しいNISA制度)を活用することで、非課税メリットを最大限に活用できる機会が増えます。ただし、それぞれの制度には年間拠出(投資)上限額や受給開始年齢などのルールがありますので、ご夫婦でそれぞれの制度をどのように活用するか戦略を立てることが重要です。
- iDeCo: 老後資金準備に特化した制度で、掛金が全額所得控除の対象となるため、所得税・住民税の負担を軽減できます。原則60歳まで引き出せません。
- NISA: 投資で得た利益が非課税になる制度です。iDeCoと比べて資金の引き出しが自由度が高い一方、掛金の所得控除はありません。
ご夫婦それぞれがこれらの制度を活用する場合、全体の資産配分やリスク許容度を夫婦で共有し、バランスを取ることが賢明です。
なぜ共働き夫婦は「見直し」と「共有」が重要か?
共働き夫婦の場合、お二人のキャリア、収入、健康状態、そしてご実家の状況(親の介護や相続など)など、考慮すべき要素が単身者の倍になります。これらの要素は時間とともに変化するため、老後資金計画も一度立てたら終わりではなく、定期的な「見直し」が不可欠です。
また、お互いの状況や考え方を「共有」できていないと、以下のような問題が生じる可能性があります。
- 計画のズレ: お互いが別の目標金額やスケジュールで計画を進めてしまい、世帯全体として非効率になる。
- リスクの偏り: ご夫婦それぞれが似たような資産に集中投資してしまい、世帯全体としてリスクを取りすぎてしまう。
- 不測の事態への対応遅れ: どちらかの収入が減少したり、大きな支出が必要になったりした場合に、夫婦で協力して対応するための準備ができていない。
見直しの具体的なタイミングとチェックポイント
では、どのようなタイミングで見直しを行い、何をチェックすれば良いでしょうか。
見直しのタイミング例
- 定期的なタイミング: 年に一度、あるいは半年に一度など、夫婦で話し合う日を決める。
- 大きなライフイベント時: 転職、昇進・昇給、子の独立、住宅の購入・売却、親の病気・介護・相続など。
- 制度変更時: iDeCoやNISAなどの税制や仕組みに変更があった際。
- 市場が大きく変動した際: 投資している資産の価値が大きく変動した場合。
チェックポイント
- 現在の資産状況の確認: 預貯金、投資信託、株式、保険、企業年金・退職金など、ご夫婦それぞれの資産を合算して現状を把握します。
- 老後資金の目標額再確認: ライフプランの変化(リタイア時期の変更、住まいの変更、新たな趣味など)に合わせて、必要な老後資金の目標額に修正がないか確認します(参考:[リンク先仮記載] 老後資金の目標額設定と計算シミュレーション)。
- 収入・支出の変化: ご夫婦それぞれの収入に変化はあったか、大きな固定費(住宅ローン、教育費など)に変動はないかを確認します。
- 公的年金の見込額: 年に一度送られてくる「ねんきん定期便」などを確認し、将来の年金見込額に変化がないか把握します。
- 資産配分の確認: 現在の資産配分が、目標やリスク許容度と合っているか確認します。市場変動によってバランスが崩れていないかなどもチェックします。
- iDeCo・NISAの拠出(投資)状況: ご夫婦それぞれの拠出(投資)額が上限まで達しているか、非課税枠を有効活用できているかを確認します。
- 保険の見直し: 医療保険や死亡保険など、現在の保障内容がライフステージに合っているか、過不足がないか確認します(特に、収入減となった場合に備える保障など)。
夫婦で老後資金計画を「共有」するためのヒント
多忙な日々の中で、夫婦でじっくりお金の話をする時間を作るのは難しいかもしれません。しかし、情報共有は計画成功の鍵となります。
- 共通の目標を設定する: 「〇歳までに△△円貯める」「年間××円を資産運用に回す」など、具体的な目標を夫婦で共有します。
- 情報共有の場を設ける: 定期的に(例:毎月一度や四半期に一度)、「老後資金会議」のような時間を設けることを習慣化します。短時間でも構いません。
- ツールを活用する: デジタルツールに慣れている方であれば、以下のようなツールを活用して情報共有を効率化できます。
- 家計簿アプリ: 夫婦で共通の家計簿アプリを使用し、支出を共有する。
- 資産管理アプリ/ツール: 証券口座や銀行口座などを連携させ、夫婦それぞれの資産状況や世帯全体の資産状況を「見える化」する。一部のツールでは目標設定やシミュレーション機能も利用できます(参考:[リンク先仮記載] 老後資金「見える化」ツール活用術)。
- 表計算ソフト(Excel, Google Sheetsなど): 共有フォルダに家計収支表や資産一覧表を作成し、夫婦でいつでも確認・更新できるようにする。
- お互いのリスク許容度を理解する: 投資に対する考え方やリスクへの耐性は人それぞれです。お互いの考え方を尊重し、夫婦全体として無理のない範囲で資産運用を行う方針を定めます。
- 専門家の力を借りる: 必要に応じて、ファイナンシャルプランナー(FP)などの専門家にご夫婦で相談することも有効です。第三者の視点が入ることで、冷静に状況を整理し、客観的なアドバイスを得られます。
まとめ:夫婦で話し合い、共に進めることが不安解消への道
共働き夫婦にとって、老後資金計画は単に個人の資産を増やすだけでなく、二人で協力して未来を築くプロセスです。お互いの状況を理解し、定期的に計画を見直し、そして何よりも「共有」することが、漠然とした老後への不安を具体的な対策へと変える第一歩となります。
多忙な中でも、月に一度でも数ヶ月に一度でも構いませんので、ご夫婦でじっくりと将来について話し合う時間を持つことから始めてみてはいかがでしょうか。この記事が、皆様の老後資金計画の一助となれば幸いです。
【免責事項】 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の投資推奨や税務・法務アドバイスを行うものではありません。投資判断はご自身の責任において行い、必要に応じて専門家にご相談ください。掲載情報は記事作成時点のものであり、将来の法改正や制度変更によって変更される可能性があります。